ARDSにおける部分的補助換気中の二重サイクリング(ブレススタッキング):生理的変動の一側面にすぎないのか?
総合: 68.5革新性: 7インパクト: 6厳密性: 7引用可能性: 7
概要
低酸素血症患者20例で、NAVA、PAV+、PSVのいずれでも二重サイクリングの発生は稀(中央値0.6%以下)で、一回換気量や呼吸数の変動と関連した。DC/BS呼吸は努力・伸展が高い一方、その後のサイクルでEELIやコンプライアンスが改善し、補助換気中のため息様の振る舞いで必ずしも有害ではない可能性が示された。
主要発見
- DC/BSの発生率はNAVA0.6%、PAV+0.0%、PSV0.1%と低く、モード間差は有意でなかった(p=0.06)。
- DC/BSは一回換気量の変動(p=0.014)と呼吸数の変動(p=0.011)と関連した。
- DC/BS呼吸は一回換気量、筋圧、区域伸展が高く、その後のサイクルでEELIと動的コンプライアンスがしばしば改善し、ため息に類似した。
臨床的意義
補助換気中に稀にみられるDC/BSのみを理由に呼吸ドライブの過度な抑制や換気モード変更を避け、過大努力に注意しつつ生理的「ため息」として許容する判断が考えられる。
なぜ重要か
補助換気中の二重サイクリングは一律に有害という通念に疑義を呈し、生理学的データによりアラーム設定や患者–人工呼吸器相互作用の管理の見直しを促す。
限界
- 二次解析かつ症例数が少ない(N=20)ため臨床転帰に対する検出力が不足
- 観察期間が短く、単施設の生理学中心の研究である
今後の方向性
DC/BSパターンと臨床転帰・有害努力の閾値を結び付ける多施設前向き研究、無害と有害パターンを識別する人工呼吸器内アルゴリズムの開発。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究(生理学的クロスオーバー解析)
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- III - 被験者内比較を含む前向き観察生理学研究
- 研究デザイン
- OTHER