急性呼吸窮迫症候群治療における一般的薬剤の有効性と安全性:系統的レビューおよびネットワークメタアナリシス
総合: 74.0革新性: 7インパクト: 7厳密性: 8引用可能性: 7
概要
27件のRCT(n=3492)の解析で、神経筋遮断薬はARDSの28日死亡を低下させた(OR 0.52)が、吸入性肺血管拡張薬と間葉系幹細胞は死亡・人工呼吸器離脱・酸素化を改善しなかった。90日転帰への波及効果も認められなかった。
主要発見
- 神経筋遮断薬は標準治療に比べ28日死亡を低下させた(OR 0.52、95%CI 0.31–0.88)。
- 吸入性肺血管拡張薬および間葉系幹細胞は入院死亡を低下させなかった(それぞれOR 0.89、0.90)。
- 90日死亡、人工呼吸器離脱日数、酸素化において、いずれの介入も標準治療との差は有意ではなかった。
臨床的意義
中等度~重症ARDSでは選択的に神経筋遮断薬の早期・プロトコール化使用を検討しつつ、吸入性肺血管拡張薬や間葉系幹細胞に死亡率低下の根拠がないことを認識します。肺保護換気や腹臥位などの標準的非薬物療法を基盤に、NMBを適切に併用すべきです。
なぜ重要か
ARDSの薬物療法に関するランダム化エビデンスを統合し、生存利益を示す介入を明確化することで、診療ガイドラインと試験設計の優先順位付けに直結するため重要です。
限界
- 試験間の不均質性や二群比較デザインが多く、推移性と推定精度に制約がある可能性。
- 90日アウトカムや副次評価項目での有益性は示されなかった。
今後の方向性
神経筋遮断薬の最適な開始時期・投与期間、恩恵を受けやすい表現型の特定、肺保護戦略との併用効果を実用的RCTで検証する必要があります。
研究情報
- 研究タイプ
- システマティックレビュー/メタアナリシス
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - ランダム化比較試験を統合した系統的レビュー/ネットワークメタアナリシス。
- 研究デザイン
- OTHER