HDL中のpro-SFTPB増加はHDLの炎症促進化を誘導し、ARDS患者の不良予後の徴候を示す
総合: 73.0革新性: 8インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 7
概要
発見・検証コホート横断のHDLプロテオーム解析により、HDL中pro-SFTPBの増加のみがARDS不良予後と有意に関連した。HDL-pro-SFTPBは炎症性サイトカインと相関し、in vitroでpro-SFTPB富化HDLはM1極性化を促進し、炎症性HDLリモデリングへの機序的関与が示唆された。
主要発見
- 発見コホートで変化した102種のHDL蛋白のうち18種を検証し、HDL中pro-SFTPBの増加のみがARDS不良予後を有意に予測した。
- HDL-pro-SFTPBは炎症性サイトカイン/ケモカインおよびSAA2と正相関、PON3と負相関を示した。
- in vitroでpro-SFTPB富化HDLは単球由来マクロファージ(THP-1)のM1極性化を促進した。
臨床的意義
HDL-pro-SFTPBは予後バイオマーカーとなり得るとともに、HDLの炎症促進化とM1極性化を抑制する治療標的となる可能性がある。
なぜ重要か
特定のHDL構成要素(pro-SFTPB)を予後とマクロファージ極性化の双方に結び付け、敗血症性ARDSでのバイオマーカーと機序を架橋したため。
限界
- 両コホートでサンプルサイズが小さく、推定精度と一般化可能性に限界がある。
- 観察研究であり、ARDS進展におけるpro-SFTPBの因果的役割のin vivo検証は未了。
今後の方向性
HDL-pro-SFTPBの前向き予後バリデーション、in vivoでの機序解明、HDL構成とマクロファージ極性を修飾する介入の探索。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例対照研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- III - 検証コホートとin vitro機能評価を伴う観察的症例対照研究
- 研究デザイン
- OTHER