H3K14laはSLC40A1/トランスフェリンを介したフェロトーシスを促進し、敗血症性ARDSの内皮機能障害を惹起する
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
敗血症マウスでのラクトライオーム/プロテオーム解析とCut&Tagにより、肺内皮における乳酸駆動性H3K14乳酸化がフェロトーシス関連遺伝子(TFRC、SLC40A1)のプロモーターに集積し、解糖亢進を内皮フェロトーシスと肺障害に結び付けることを示した。解糖抑制はH3K14laと内皮活性化を低下させ、解糖系–H3K14la–フェロトーシス軸を敗血症性ARDSの治療標的として提案する。
主要発見
- 敗血症マウスで肺内、特に肺内皮細胞において乳酸とH3K14乳酸化が上昇した。
- 解糖抑制によりH3K14laと内皮活性化が低下し、代謝フラックスとエピジェネティック制御の連関が示された。
- H3K14laはフェロトーシス関連遺伝子(TFRC、SLC40A1)のプロモーターに富み、内皮活性化と肺障害を促進した。
- 解糖系–H3K14la–フェロトーシス軸が敗血症性ARDSの血管機能障害の機序的ドライバーであることを同定した。
臨床的意義
肺内皮における解糖、ヒストン乳酸化、あるいはフェロトーシスを標的化することで、敗血症性ARDSの血管漏出と臓器障害を軽減できる可能性があり、解糖阻害薬やフェロトーシス調節薬の橋渡し研究が促される。
なぜ重要か
ヒストンH3K14乳酸化が敗血症性肺障害で内皮フェロトーシスを制御することを初めて示し、代謝異常から血管障害への機序的橋渡しを提示したため。
限界
- 主にマウスモデルでの所見であり、ヒト組織での検証がない。
- H3K14la下流の特定フェロトーシス標的の因果的操作はin vivoでの追加確認が必要。
今後の方向性
ヒトARDS内皮でH3K14la–フェロトーシス署名を検証し、薬理学的介入(解糖阻害薬、フェロトーシス阻害薬)を評価、さらに敗血症モデルでの細胞種特異性と時相を解明する。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序解明研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 動物モデルによる基礎機序研究で臨床転帰の検証はない
- 研究デザイン
- OTHER