肺胞上皮細胞から放出される細胞外Peroxiredoxin 6はDAMPとして作用し、急性肺傷害におけるマクロファージ活性化と炎症増悪を駆動する
総合: 85.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 7
概要
前向きヒトデータと機序実験により、細胞外PRDX6がALI/ARDSにおけるDAMPであることが示された。PRDX6はMD2に結合してTLR4/NF-κBを活性化し、マクロファージのM1極性化を促進、予後不良と相関した。TLR4–MD2阻害により炎症は軽減した。
主要発見
- ARDSではBAL中PRDX6が上昇し、単球活性化と予後不良に相関した。
- 肺胞上皮細胞はストレス下でPRDX6を能動的に放出し、マウス急性肺傷害モデルでも同様に放出が確認された。
- 外因性PRDX6はTLR4/NF-κBを活性化しマクロファージのM1極性化を誘導、TLR4–MD2阻害で炎症は軽減した。
- 分子ドッキングと結合試験によりPRDX6–MD2の直接相互作用が示され、DAMPとしての役割を支持した。
臨床的意義
BAL中PRDX6は炎症負荷のバイオマーカーおよび治療標的となり得る。PRDX6–MD2/TLR4相互作用の薬理学的遮断はARDSの肺炎症緩和に寄与する可能性がある。
なぜ重要か
肺炎症を駆動する新規DAMPと受容体相互作用を提示し、ARDSにおける創薬可能なPRDX6–MD2/TLR4軸を示した点で意義が大きい。
限界
- ヒトのサンプルサイズや詳細なコホート特性が抄録で示されていない
- ヒトでの因果は推論に留まり、経路阻害の臨床的有効性は未検証
今後の方向性
多施設ARDSコホートでのPRDX6の予後予測能の定量化と、MD2–TLR4経路阻害薬やPRDX6中和戦略のトランスレーショナル評価を進める。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- II - 前向きヒトコホートの相関とin vivo/in vitro機序検証を含むが、無作為化は行っていない。
- 研究デザイン
- OTHER