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肺胞上皮細胞から放出される細胞外Peroxiredoxin 6はDAMPとして作用し、急性肺傷害におけるマクロファージ活性化と炎症増悪を駆動する

International immunopharmacology2025-01-18PubMed
総合: 85.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 7

概要

前向きヒトデータと機序実験により、細胞外PRDX6がALI/ARDSにおけるDAMPであることが示された。PRDX6はMD2に結合してTLR4/NF-κBを活性化し、マクロファージのM1極性化を促進、予後不良と相関した。TLR4–MD2阻害により炎症は軽減した。

主要発見

  • ARDSではBAL中PRDX6が上昇し、単球活性化と予後不良に相関した。
  • 肺胞上皮細胞はストレス下でPRDX6を能動的に放出し、マウス急性肺傷害モデルでも同様に放出が確認された。
  • 外因性PRDX6はTLR4/NF-κBを活性化しマクロファージのM1極性化を誘導、TLR4–MD2阻害で炎症は軽減した。
  • 分子ドッキングと結合試験によりPRDX6–MD2の直接相互作用が示され、DAMPとしての役割を支持した。

臨床的意義

BAL中PRDX6は炎症負荷のバイオマーカーおよび治療標的となり得る。PRDX6–MD2/TLR4相互作用の薬理学的遮断はARDSの肺炎症緩和に寄与する可能性がある。

なぜ重要か

肺炎症を駆動する新規DAMPと受容体相互作用を提示し、ARDSにおける創薬可能なPRDX6–MD2/TLR4軸を示した点で意義が大きい。

限界

  • ヒトのサンプルサイズや詳細なコホート特性が抄録で示されていない
  • ヒトでの因果は推論に留まり、経路阻害の臨床的有効性は未検証

今後の方向性

多施設ARDSコホートでのPRDX6の予後予測能の定量化と、MD2–TLR4経路阻害薬やPRDX6中和戦略のトランスレーショナル評価を進める。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
II - 前向きヒトコホートの相関とin vivo/in vitro機序検証を含むが、無作為化は行っていない。
研究デザイン
OTHER