COVID-19誘発急性呼吸窮迫症候群に対する好中球エラスターゼ阻害薬(シベレスタット)の治療:多施設後ろ向きコホート研究
総合: 64.5革新性: 7インパクト: 7厳密性: 6引用可能性: 6
概要
COVID-19誘発ARDSの多施設傾向スコアマッチ済みコホートで、シベレスタット投与は酸素化改善、Murray肺損傷スコア低下、ICU離脱日数増加、ICU在室短縮、28日生存改善(HR 2.78;95%CI 1.32–5.88)と関連した。ARDSにおける好中球エラスターゼ阻害のランダム化試験の必要性を支持する。
主要発見
- 傾向スコアマッチ後(n=158)において、シベレスタット投与は酸素化を改善し、Murray肺損傷スコアを低下させた。
- シベレスタットは28日以内の生存かつICU離脱日数を増加(HR 1.85;95%CI 1.29–2.64;ログランクp<0.001)し、ICU在室を短縮した。
- 28日生存はシベレスタットで改善(HR 2.78;95%CI 1.32–5.88;ログランクp=0.0074)した。
臨床的意義
COVID-19関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)では、ランダム化試験の実施や施設プロトコール下での活用を検討し得る。好中球エラスターゼによる肺傷害を標的とする治療戦略の重要性を示す。
なぜ重要か
COVID-19期のARDSにおいて機序標的治療の有用性を示唆する臨床的に重要な関連を、適切なマッチングと生存解析で提示したため。
限界
- 後ろ向き研究であり、残余交絡の可能性
- COVID-19特異的ARDSであり、非COVID-19 ARDSへの一般化や至適投与量は未確立
今後の方向性
COVID-19および非COVID-19のARDSを対象とした十分に検出力のあるランダム化比較試験を実施し、至適投与時期・用量を規定するとともに、奏効群を同定するバイオマーカーの検討を行う。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- III - 多施設後ろ向きコホート(傾向スコアマッチング)による転帰との関連解析
- 研究デザイン
- OTHER