COVID-19患者肺におけるカスパーゼ-1の活性化、IL-1/IL-6シグネチャーおよびIFNγ誘導性ケモカイン
総合: 75.5革新性: 7インパクト: 7厳密性: 8引用可能性: 8
概要
剖検肺、BALF、血清を用いて、ステロイド治療下のC-ARDS肺でカスパーゼ-1活性化と主要なIL-1β/IL-6シグネチャー、さらにIFNγ誘導性ケモカインの上昇を示した。IL-1βはBALFに偏在し、循環IL-6およびIL-1Raは重症度と関連した一方、TNFα/TNFR1/CXCL8はNC-ARDSで高値であった。
主要発見
- C-ARDS剖検肺では、血管病変を伴うびまん性肺胞障害と活性化カスパーゼ-1が併存した。
- ステロイド治療下C-ARDSのBALFでIL-1β、IL-1Ra、IL-6およびIFNγ/CXCL10が高値で、IL-1βはBALFに集中していた。
- 循環IL-6とIL-1Raは重症度と関連し、TNFα、TNFR1、CXCL8はC-ARDSよりNC-ARDSで有意に高かった。
臨床的意義
IL-1/カスパーゼ-1およびIL-6軸の阻害薬の検討を支持し、IL-1βが肺内に偏在するためBALFなど肺区画の評価の重要性を示す。ステロイド単独ではインフラマソーム駆動の障害を十分抑えられない可能性がある。
なぜ重要か
ARDSにおける肺区画のサイトカイン生物学を明確化し、ステロイド下でも活性なインフラマソーム/IL-1およびIL-6経路、NC-ARDSとの差異を示した。バイオマーカー戦略と治療標的化に資する。
限界
- BALFのコホート規模が比較的小さく(19対19)、横断的である
- ステロイド治療がサイトカイン値に交絡し得ること、介入評価がない
今後の方向性
肺区画バイオマーカーによる層別化を組み込んだ前向き縦断サンプリングと、ARDS(COVID/非COVID)におけるIL-1/カスパーゼ-1またはIL-6阻害の臨床試験が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例対照研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- III - BALF/血清のサイトカイン比較を主体とし、剖検病理所見を補助とする症例対照研究
- 研究デザイン
- OTHER