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急性呼吸窮迫症候群におけるインフラマソームの役割

Thorax2025-01-31PubMed
総合: 63.5革新性: 7インパクト: 8厳密性: 5引用可能性: 7

概要

本総説は、DAMP/PAMP刺激からIL-1β/IL-18成熟へ至る結節点として、特にNLRP3を中心とする好中球インフラマソームをARDS病態の中核に位置づける。各種インフラマソームの知見を統合し、翻訳研究が停滞してきた理由を整理するとともに、バイオマーカーに基づく免疫調節戦略の試験設計を示す。

主要発見

  • 感染性・非感染性の双方のARDSで、NLRP3が最も関与するインフラマソームであると位置づけた。
  • NLRC4やAIM2、およびインフラマソーム非依存経路の役割を強調した。
  • 翻訳の隔たりを説明:IL-1β/IL-18/インフラマソーム遮断の動物での有益性が人で再現されない要因として好中球生物学を指摘。
  • 今後の試験に向け、バイオマーカーに基づく好中球志向の免疫調節を提案した。

臨床的意義

標準的支持療法は変わらないが、インフラマソーム活性やIL-1β/IL-18経路に基づくフェノタイピングを考慮し、NLRP3やIL-1経路阻害薬の試験参加を検討すべきである。無差別な免疫抑制は避け、バイオマーカーとタイミングに基づく標的化を目指す。

なぜ重要か

ARDS病態を好中球インフラマソーム中心に再構築し、薬剤が不在であった領域に標的介入の道筋を示す。機序研究と早期臨床試験の双方を方向づける可能性が高い。

限界

  • 系統的検索・選択を伴わないナラティブレビュー(PRISMA非準拠)。
  • げっ歯類モデルへの依存が大きく、人での機序検証は限定的。

今後の方向性

好中球特異的指標など人のARDSにおけるインフラマソーム活性バイオマーカーを開発し、単一細胞解析や機能アッセイを統合、バイオマーカー濃縮型の適応的試験でNLRP3/IL-1経路阻害薬を検証する。

研究情報

研究タイプ
システマティックレビュー
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 新規一次データを伴わないナラティブ(非系統的)な専門家総説
研究デザイン
OTHER