敗血症誘発性急性肺障害において血漿由来細胞外小胞は肺胞マクロファージをオートファジーおよびフェロトーシスへ初期化する
総合: 83.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
敗血症患者の血漿EVは重症度と関連するmiRNA/タンパク質を担持し、LCN2、miR-122-5p、miR-223-3pが敗血症性ARDSの独立予測因子であった。機序的には、EV中miR-223-3pがMEF2Cを介してHippo経路を活性化し、肺胞マクロファージのオートファジーとフェロトーシスを誘導し、in vivo抑制で肺障害が軽減した。
主要発見
- miR-122-5p、miR-125b-5p、miR-223-3p、OLFM4、LCN2からなるEVパネルは、敗血症の重症度・予後と関連し、AUCが良好であった。
- LCN2、miR-122-5p、miR-223-3pは敗血症性ARDSの独立予測因子であった。
- EV中miR-223-3pはMEF2Cを標的としてHippo経路を活性化し、肺胞マクロファージのオートファジーとフェロトーシスを誘導;in vivoでの抑制により肺障害が軽減した。
臨床的意義
EV由来miR-223-3p、miR-122-5p、LCN2は敗血症性ARDSのリスク層別化に有用であり、肺胞マクロファージにおけるmiR-223-3pの抑制やHippo経路の調節は新たな治療戦略となり得る。
なぜ重要か
循環EVの内容物を敗血症性肺障害の予測バイオマーカーと病因経路に結びつけ、診断と治療の橋渡しを行う点が重要である。介入可能な標的(miR-223-3p/MEF2C/Hippo)を提示している。
限界
- 要旨中にサンプルサイズや外部検証コホートの詳細が記載されていない。
- EV経路の治療的介入は前臨床段階であり、臨床効果は未検証である。
今後の方向性
多施設敗血症コホートでEVバイオマーカーパネルと閾値の検証を行い、miR-223-3p/Hippo標的治療や送達システムの開発を進める。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- III - 観察的コホートのバイオマーカー解析にin vitro/in vivo機序検証を組み合わせた研究。
- 研究デザイン
- OTHER