アイルランドにおける高度呼吸補助を要するSARS‑CoV‑2患者の急性肺障害は噴霧ヘパリンで軽減できるか:CHARTER‑Ireland 第Ib/IIa相、無作為化並行群、非盲検試験
総合: 64.0革新性: 6インパクト: 6厳密性: 7引用可能性: 6
概要
多施設無作為化非盲検第Ib/IIa相試験(n=40)において、噴霧未分画ヘパリンは10日間でDダイマーを低下させず、重篤出血やHITは認めない安全性であったが、COVID-19 ARDSの酸素化をむしろ悪化させた。
主要発見
- 噴霧ヘパリン投与群は標準治療群に比べ、ベースラインから10日目までのDダイマーの有意な低下を示さなかった(p=0.996)。
- 安全性は概ね許容可能で、ヘパリン群で出血事象は多かったが、肺出血・重篤出血・HITは認めなかった。
- ヘパリン投与患者では酸素化指標(PaO2/FiO2)が低下し悪化した。
臨床的意義
COVID-19 ARDSでは、バイオマーカー改善がなく酸素化悪化を示したため、臨床試験外での噴霧未分画ヘパリンの常用は避けるべきであり、出血の厳重な監視が必要である。
なぜ重要か
COVID-19 ARDSに対する噴霧ヘパリンの使用に否定的な無作為化の前向きエビデンスを提示し、適応外使用を戒め今後の試験設計に示唆を与える。
限界
- 非盲検かつ小規模(n=40)であり、臨床アウトカムには検出力不足の可能性。
- COVID-19特異的状況および代理指標(Dダイマー)を主要評価に用いたため、非COVID ARDSやハードエンドポイントへの一般化に限界。
今後の方向性
吸入抗凝固薬を対象に、血栓表現型で層別化しハードエンドポイントを評価する十分な検出力を備えた盲検RCTを実施し、非COVID ARDSへの適用も検討する。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 有効性と安全性を評価する無作為化比較試験(第Ib/IIa相)。
- 研究デザイン
- OTHER