TREM2はマクロファージ・フェロトーシス抑制を介してLPS誘発マウス急性肺障害から保護する
総合: 66.0革新性: 8インパクト: 6厳密性: 6引用可能性: 6
概要
LPS誘発急性肺障害でTREM2発現は低下し、マクロファージでのTREM2増強によりサイトカイン、酸化ストレス、鉄関連傷害が抑制され、移入は肺炎症を軽減した。TREM2/DAP12軸がマクロファージ・フェロトーシス抑制に関与し、治療標的となる可能性が示された。
主要発見
- TREM2はp38 MAPKおよびSTAT6活性化を介してLPS処理マクロファージとマウス急性肺障害で低下した。
- TREM2過剰発現はDAP12、炎症性サイトカイン、MDA、ヘモジデリン蓄積を減少させ、ノックダウンはIL-6、ROS、LDHとヘモジデリン蓄積を増加させた。
- TREM2過剰発現マクロファージの移入はマウス急性肺障害の肺炎症を抑制し、TREM2/DAP12がマクロファージ・フェロトーシス抑制に関与することを示した。
臨床的意義
前臨床段階だが、TREM2シグナルやフェロトーシス経路の標的化は肺保護換気を補完し得る。マクロファージを用いた細胞治療の検討価値がある。
なぜ重要か
TREM2/DAP12が制御するマクロファージ・フェロトーシスという免疫代謝機序を示し、肺傷害の重症度を調節する創薬可能な軸としてARDS治療の可能性を示す。
限界
- LPS誘発マウスALIモデルはヒトARDSの病態を完全には再現しない可能性がある
- サンプルサイズや長期転帰の詳細がなく、ヒトでの検証がない
今後の方向性
ARDSにおけるTREM2上流制御因子の解明、TREM2アゴニストやフェロトーシス阻害薬の検証、ヒトマクロファージおよび臨床検体での外部検証を行う。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 細胞実験とマウスALIにおける移入を用いた前臨床機序研究
- 研究デザイン
- OTHER