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機械換気を要した急性呼吸窮迫症候群の21世紀における疫学動向:全国規模の人口ベース後ろ向き研究

Journal of intensive care2025-02-18PubMed
総合: 66.0革新性: 7インパクト: 7厳密性: 6引用可能性: 7

概要

スペイン全国のMV-ARDS 93,192例(2000–2022年)で、2021年に発生率がピーク後に安定化、死亡率は全体として低下し、患者当たりコストは€30–40千で高止まりした。COVID期には在院日数が延長する一方、死亡率は低下し、肥満・糖尿病や真菌・ウイルス病因の増加がみられた。

主要発見

  • 93,192件のMV-ARDS入院を解析し、発生率は2.96–20.14/10万人年で2021年にピーク。
  • 病院死亡率は38.0–55.0%で経年的に低下傾向。
  • 患者当たり費用は約4倍に増加し、2011年ピーク(€42,812)後は€30–40千で安定。
  • COVID期には在院日数が延長しつつ死亡率は低下し、肥満・糖尿病および真菌・ウイルス病因の割合が増加。

臨床的意義

MV-ARDSの発生率・死亡率・費用の基準化は、ICUのキャパシティ計画、ECMO・人工呼吸資源配分、高リスク集団に対する予防策の優先度設定を支える。

なぜ重要か

欧州最大規模のMV-ARDS疫学研究として、発生率・転帰・医療費動向の最新知見を提供し、政策立案や資源配分に直結する。

限界

  • 後ろ向きの診療情報管理データにより、ARDSの重症度や病因の誤分類の可能性。
  • 詳細な臨床変数が不足し、因果推論や表現型別の洞察に限界がある。

今後の方向性

診療情報と臨床レジストリの連結による表現型別解析、他国での外部検証、費用と転帰の規定因の解明が必要。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
予後
エビデンスレベル
III - 行政データを用いた大規模後ろ向き人口ベース・コホート研究
研究デザイン
OTHER