ARDSにおける副腎皮質ステロイド、神経筋遮断薬、吸入一酸化窒素の比較成績:システマティックレビューとネットワークメタ解析
総合: 75.5革新性: 7インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 7
概要
26試験(5,071例)の統合解析で、ベクロニウムは28日死亡低下で最上位、デキサメタゾンは28日人工呼吸器離脱日数の増加と感染抑制で優位、iNOは有意な有益性を示さなかった。ARDS補助療法としてステロイドと選択的NMBAの有用性が支持された。
主要発見
- ベクロニウムは28日死亡低下で最上位(SUCRA 96.6%、他治療との比較でOR 0.23–0.38)。
- デキサメタゾンは28日人工呼吸器離脱日数を増加(従来治療・シサトラクリウムに比べMD約3.4–3.6日、SUCRA 93.2%)。
- メチルプレドニゾロンはICU死亡予防で最上位(SUCRA 88.5%)。
- 吸入一酸化窒素は明確な有益性を示さず、デキサメタゾンは新規感染リスクにおいて良好な安全性を示した。
臨床的意義
デキサメタゾンの早期投与で人工呼吸器離脱日数の改善を期待し、適切なARDS表現型では選択的NMBA(例:ベクロニウム)の使用を検討する。一方、死亡率改善が乏しいiNOの常用は避ける。
なぜ重要か
PROSPERO登録のネットワークメタ解析により、広く用いられるARDS補助療法の比較効果を明確化し、ガイドラインおよび臨床意思決定に資する。
限界
- 試験デザイン、投与法、対象集団の不均一性がネットワークメタ解析の可遷移性仮定に影響し得る。
- 一部比較で信頼区間が広く、個別患者データがないためサブグループ解析に限界がある。
今後の方向性
NMBA薬剤間および標準化したステロイドレジメンの直接比較RCT、表現型別の有益性を明確化する個別患者データメタ解析が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- メタアナリシス
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 事前登録されたプロトコルに基づく臨床試験の体系的レビューとネットワークメタ解析
- 研究デザイン
- OTHER