抗炎症性および内皮安定化作用をもつ初のクラスのMAPK p38α:MK2二重シグナル調節薬
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
UM101のアナログGEn-1124は、p38α結合と溶解性を高め、内皮バリアを安定化し、マウスALIおよびインフルエンザ肺炎モデルで生存を改善した。活性化p38α:MK2複合体を不安定化して炎症シグナルを再調整し、p38触媒活性を阻害せずに作用する。
主要発見
- GEn-1124はUM101比でp38α結合親和性を18倍、水溶解性を11倍に増強(SPR評価)。
- トロンビン刺激ヒト肺動脈内皮細胞で内皮バリア安定化作用を強化(in vitro)。
- LPS+発熱域高体温ALIで生存率10%→40%、インフルエンザ肺炎モデルで0%→50%に改善(マウス)。
- 機序:活性化p38α:MK2複合体を不安定化し核外移行を解離、p38αの核内シグナルを促進し細胞質MK2の不活化を亢進。
臨床的意義
臨床応用が実現すれば、MK2駆動性炎症を抑えつつ有益なp38シグナルを温存する宿主標的のARDS治療となり、非特異的抗炎症療法を超える転帰改善が期待できる。
なぜ重要か
初のクラスのシグナル調節薬として、機序的に新規な内皮安定化アプローチを提示し、in vivoで生存改善を示したため、ARDS治療開発への影響が大きい。
限界
- 前臨床モデルであり、ヒトでの薬物動態・安全性・有効性は未検証。
- オフターゲット作用や長期転帰の評価が不十分。
今後の方向性
PK/PD、毒性、用量反応の確立、追加ALI/ARDSモデルや大型動物での検証、ターゲットエンゲージメントのバイオマーカー同定、早期臨床試験への展開が必要。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例対照研究
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- V - ヒト対象を含まない前臨床の機序・動物研究。
- 研究デザイン
- OTHER