メインコンテンツへスキップ

トリメトプリム/スルファメトキサゾール関連肺毒性:ファーマコビジランスデータレビュー

The Journal of antimicrobial chemotherapy2025-02-24PubMed
総合: 67.0革新性: 7インパクト: 6厳密性: 7引用可能性: 6

概要

世界的ファーマコビジランス解析により、TMP/SMXはARDSや急性肺障害を含む重篤な肺毒性と関連し、報告例の26%が致死であった。不均衡解析では、ARDS(2.9)、急性肺障害(7.5)、好酸球性肺炎(4.1)、びまん性肺胞障害(3.7)などの報告オッズが上昇した。

主要発見

  • VigiBaseでTMP/SMX関連肺毒性755例(致死26.1%)、仏データベースで17例を確認。
  • 報告オッズ比は有意に上昇:ARDS 2.9、急性肺障害 7.5、好酸球性肺炎 4.1、びまん性肺胞障害 3.7(いずれも95%CIで1を跨がず)。
  • 最も頻度が高い病型は間質性肺疾患(30.5%)であった。

臨床的意義

TMP/SMX投与患者では薬剤性肺障害(ARDS、急性肺障害、好酸球性肺炎等)を強く疑い、速やかな中止と早期診断アプローチにより重篤化を抑制し得る。呼吸器症状に関する患者教育も重要である。

なぜ重要か

広く用いられる抗菌薬をARDS等の肺障害と数量的に結び付ける安全性シグナルを提示し、リスク低減と早期認識戦略に資するため。

限界

  • 自発報告のため過少報告・報告バイアスがあり、発生率は算出不能。
  • 因果関係は確立できず、臨床情報が限定的で適応バイアス等の交絡の可能性がある。

今後の方向性

発生率とリスク因子推定のための前向き薬剤疫学研究、病態解明の機序研究、EHRでのリスク警告を含む意思決定支援の実装が望まれる。

研究情報

研究タイプ
症例対照研究
研究領域
予防
エビデンスレベル
III - 自発報告に基づく観察的不均衡解析であり、非ランダム化のエビデンス。
研究デザイン
OTHER