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電子カルテに基づく小児急性呼吸窮迫症候群サブフェノタイプ分類モデルの開発と検証

Pediatric critical care medicine : a journal of the Society of Critical Care Medicine and the World Federation of Pediatric Intensive and Critical Care Societies2025-03-06PubMed
総合: 74.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8

概要

時間的に独立した2コホートを用いて、バイオマーカーで定義された高炎症型/低炎症型PARDSをEHRのみで高精度に分類する機械学習モデルを構築した。5つの検査項目のみからなる簡便モデルでも診断24時間時点でAUC約0.92と高性能を維持し、バイオマーカー測定なしの早期精密層別化の実現可能性が示唆された。

主要発見

  • EHRのみの分類器は高炎症型PARDS判定でAUC 0.93(95%CI 0.87–0.98)、感度88%、特異度83%を達成した。
  • 5つの検査値のみを用いた簡便モデルでもAUC 0.92(95%CI 0.86–0.98)、感度76%、特異度87%と高性能であった。
  • サブフェノタイプはバイオマーカーに基づく潜在クラス解析で定義され、生物学的基準を提供した。
  • 診断24時間時点での分類が可能であり、早期のリスク層別化を支持する。

臨床的意義

診断後24時間以内のEHR由来検査値により高炎症型PARDSを同定し、治療強化や補助療法、フェノタイプ別試験への登録判断を支援できる可能性がある。

なぜ重要か

本研究はバイオマーカーで定義された生物学的サブタイプと臨床現場のEHRデータを架橋し、治療標的化や試験登録を支える早期サブフェノタイピングを可能にする点で重要である。

限界

  • 単施設研究で一般化可能性に制限がある
  • 後ろ向きデザインで未測定交絡の可能性がある
  • 外的検証は時間的分割のみで多施設ではない
  • 臨床転帰への影響は前向きには検証されていない

今後の方向性

多施設前向き検証と、簡便モデルを用いたフェノタイプ指向治療・試験層別化の介入研究。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
診断
エビデンスレベル
III - 時間分割外的検証を伴う後ろ向きコホート研究
研究デザイン
OTHER