ウイルス性肺炎後の修復機能において、誘導性制御性T細胞の維持的DNAメチル化が必須である
総合: 79.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 8
概要
インフルエンザ肺炎モデルで、iTregの移入は肺回復を加速したが、UHRF1依存の維持的DNAメチル化を欠くと定着と修復機能が低下した。多層オミクス解析により、UHRF1欠損iTregは転写不安定化とエフェクター系譜への偏倚を示し、ARDSに関連する細胞治療の前提としてエピジェネティックな維持が重要であることが示唆された。
主要発見
- iTregの移入はインフルエンザ肺炎後の肺回復を促進した。
- iTregの定着と修復機能にはUHRF1依存の維持的DNAメチル化が必要であった。
- UHRF1欠損iTregは転写不安定化を示し、エフェクターT細胞系譜決定因子の発現が増加した。
- 本結果は、ウイルス性肺炎およびARDSにおけるiTreg治療の強化に向けたエピジェネティックな安定化戦略を支持する。
臨床的意義
エピジェネティクス調節(UHRF1機能の維持など)によりiTregを安定化させることで、ウイルス性肺炎関連ARDSの細胞治療効果を高め得る。iTreg安定性のバイオマーカーは適応患者選択や用量設計に有用となる可能性がある。
なぜ重要か
iTregの安定性と修復効果に必須なエピジェネティック要件(UHRF1介在のDNAメチル化)を示し、ウイルス性肺炎後ARDSに対する細胞治療の機序的基盤を提供する。
限界
- 前臨床マウス研究であり、ヒトARDSへの直接的外的妥当性に限界がある
- サンプルサイズや用量・経時プロトコールが抄録では不明確
- 査読前のプレプリントである
今後の方向性
iTregのエピジェネティック安定性を維持する薬理学的・遺伝学的手法を開発し、ヒト組織や大動物モデルで検証する。ウイルス性肺炎関連ARDSにおけるiTreg療法と安定性バイオマーカーを評価する早期臨床試験を設計する。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 遺伝子改変と移入を用いた前臨床の動物実験研究
- 研究デザイン
- OTHER