急性肝不全におけるレスキュー失敗:多施設コホート研究
Liver transplantation : official publication of the American Association for the Study of Liver Diseases and the International Liver Transplantation Society•2025-03-10•PubMed
総合: 62.0革新性: 7インパクト: 7厳密性: 5引用可能性: 7
概要
急性肝不全665例の多施設コホートで、レスキュー失敗(初日合併症発生例の21日死亡)は全体32.8%、ARDSでは48.1%であった。初日の合併症が1つ増えると21日移植非施行死亡のオッズが38%上昇し、合併症の早期把握と対策の重要性が示された。
主要発見
- ALFにおける12種類の内科合併症のレスキュー失敗率は全体で32.8%だった。
- ARDSのレスキュー失敗率は48.1%で、消化管出血63.6%、非消化管出血53.9%、昇圧薬使用52.5%も高率であった。
- 初日の合併症が1つ増えるごとに21日移植非施行死亡のオッズが38%上昇(aOR 1.38[1.24–1.54]、c統計0.77)。
- 初日に少なくとも1つの合併症を有した患者は69.3%、合併症数の中央値は1[IQR 0–3]であった。
臨床的意義
ALF患者ではARDSや出血がレスキュー失敗の高リスク合併症であり、予防・早期検出・迅速な初期介入を優先すべきである。合併症負荷をリスク層別化や資源配分に組み込むことが望ましい。
なぜ重要か
内科疾患集団におけるレスキュー失敗の定量化を行い、ARDSを高リスク合併症として位置付け、品質改善のベンチマークを提供する。
限界
- 後ろ向き解析であり、残余交絡や誤分類の影響を免れない
- 結果はALF特異的であり、他の内科集団への一般化には限界がある
今後の方向性
レスキュー失敗指標を前向きの品質改善プログラムに組み込み、ALFにおけるARDSや出血の早期検出・管理バンドルを検証し、外部コホートで再現性を評価する。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予後
- エビデンスレベル
- III - 前向き登録に基づく多施設後ろ向きコホート解析
- 研究デザイン
- OTHER