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MBD2はFZD2の調節を介して上皮間葉転換(EMT)とARDS関連肺線維症を促進する

Biochimica et biophysica acta. Molecular basis of disease2025-03-14PubMed
総合: 77.5革新性: 9インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8

概要

マウスARDS-線維症モデルと上皮細胞系で、EMTと線維化の過程でMBD2が上昇し、MBD2の欠損・抑制によりこれらが軽減することを示した。機序的にはMBD2がFZD2を制御し、エピジェネティクスとWntシグナルを介してARDS関連肺線維化に関与することが示唆され、ARDS単細胞解析およびヒト線維症検体での所見が臨床的関連性を裏付ける。

主要発見

  • マウスBLM/LPSモデルでEMTと線維化に伴いMBD2が上昇し、MBD2欠損はEMTと肺線維化を軽減した。
  • TGF-βは肺胞上皮細胞でEMTとMBD2上昇を誘導し、MBD2ノックダウンで緩和、過剰発現で増悪した。
  • ChIP/RNA-SeqによりFZD2がMBD2の標的であることが示唆され、ARDS関連線維化におけるエピジェネティック制御とWntシグナルを連結した。
  • ARDSの単細胞解析およびヒト肺線維症標本で肺胞上皮におけるMBD2高発現が確認され、翻訳的関連性を支持した。

臨床的意義

前臨床段階だが、MBD2–FZD2軸はARDS後の抗線維化介入の標的経路を示す。線維化リスクのあるARDS生存者の層別化や、MBD2/FZD2調節薬の検証は臨床的意義が大きい。

なぜ重要か

ARDS関連線維化のエピジェネティックドライバーとしてMBD2とその標的FZD2を同定し、ARDS後の線維性リモデリング予防に向けた創薬標的の可能性を提示する。

限界

  • ヒトでの介入的検証がない前臨床研究である
  • モデル特異的影響の可能性と独立コホートでの再現性検証が未実施

今後の方向性

大型動物モデルおよび早期臨床試験でのMBD2/FZD2の薬理学的・遺伝学的介入評価、ARDS生存者の縦断プロファイリングによるMBD2活性と線維化転帰の関連付けが必要。

研究情報

研究タイプ
症例集積
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 動物モデル・細胞系による前臨床の機序的エビデンス
研究デザイン
OTHER