細胞外小胞結合型S100A8/A9は敗血症性ショックで差次的に発現し、急性肺障害を惹起する
総合: 83.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
EV結合型S100A8/A9は敗血症/敗血症性ショックで上昇し、敗血症性ショックの鑑別およびARDS予測に寄与する。敗血症性ショック由来EVは肺胞マクロファージに取り込まれ、S100A8/A9–RAGEシグナルを介して急性肺障害を惹起し、中和抗体やRAGE欠損で障害は軽減した。
主要発見
- EV結合型S100A8/A9は敗血症/敗血症性ショックで有意に上昇し、ROC解析で敗血症性ショックの鑑別に有用であった。
- 敗血症性ショック由来EVはLPS非依存的にマウスで急性肺障害とM1マクロファージ分極を誘導した。
- S100A8/A9中和やRAGE欠損によりEV誘発性肺障害は軽減し、S100A8/A9–RAGE軸の関与が示された。
臨床的意義
EV中S100A8/A9は敗血症患者におけるARDS早期リスク層別化に有用で、S100A8/A9あるいはRAGE阻害の試験設計・患者選択を支援しうる。精密集中治療におけるバイオマーカー駆動の管理を後押しする。
なぜ重要か
敗血症から肺障害への連結機序としてEV–アラーミン経路を提示し、予測的価値を持つ測定可能なバイオマーカーを提供する。S100A8/A9–RAGE標的治療の道を開く。
限界
- 臨床検体数および外部検証コホートが抄録内で明示されていない。
- 橋渡し研究であり、S100A8/A9/RAGE阻害の臨床介入検証は未実施。
今後の方向性
多施設コホートでEV中S100A8/A9の閾値を検証し、S100A8/A9またはRAGE標的介入を前臨床および早期臨床試験で評価する。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - ランダム化のないヒト検体と動物モデルを組み合わせた橋渡し機序研究。
- 研究デザイン
- OTHER