インターフェロン調節因子3(IRF3)はマウスのCOVID-19重症度を悪化させる
総合: 74.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8
概要
K18-ACE2マウスではIRF3欠損が重症化を抑制し、死亡率と重症度を低下させたが、肺内ウイルス量は不変であった。IRF3はIFN-βと炎症性サイトカインを増強し、重症COVID-19で有害な炎症を担うことが示唆された。
主要発見
- IRF3欠損K18-ACE2マウスはSARS-CoV-2感染後の死亡率(84.6%対100%)および重症度スコアが低下した。
- IRF3の有無で肺内ウイルス量は同等であり、重症度はウイルス制御不全では説明できなかった。
- IRF3は肺のIFN-β産生を増加させ、サイトカインプロファイルを変化させ、有害炎症に関与した。
臨床的意義
IRF3シグナルの抑制やI型IFN投与タイミングの調整は、ウイルス排除を損なわずに重症COVID-19/急性呼吸窮迫症候群の過剰炎症を軽減しうる。
なぜ重要か
ウイルス制御とは独立に重症COVID-19の有害炎症を駆動する因子としてIRF3を同定し、I型IFN経路の治療標的化や投与タイミングの最適化に資する。
限界
- K18-ACE2モデルはACE2過剰発現などヒト病態を完全には再現しない可能性がある。
- マウスでの所見はヒト組織・臨床での検証が必要。
今後の方向性
ARDS/COVID前臨床モデルでIRF3/I型IFN経路の調整薬を評価し、患者におけるIRF3活性シグネチャを同定して治療タイミングを最適化する。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - ヒトの無作為化を伴わない制御された機序的動物実験。
- 研究デザイン
- OTHER