植物オルソログArabidopsis MDL1は急性肺障害におけるMIF媒介性炎症をin vivoで相乗的に増強する
FASEB journal : official publication of the Federation of American Societies for Experimental Biology•2025-03-26•PubMed
総合: 71.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 6
概要
ヒトMIF吸入はマウスで急性肺障害の指標を誘導し、MDL1単独は効果を示しませんでした。MIFとMDL1の併用吸入は好中球・単球浸潤と炎症性遺伝子発現を相乗的に増強し、MIF依存性肺炎症のクロスキングダムな増強を示しました。
主要発見
- ヒトMIF吸入はフローサイトメトリー、免疫蛍光、RT-qPCR、ELISAの各評価でALIの所見を誘導した。
- Arabidopsis由来のMIFオルソログMDL1単独では肺障害は惹起されなかった。
- MIF+MDL1併用により好中球・単球性細胞浸潤が相乗的に増加し、炎症性サイトカイン遺伝子が上方制御された。
- MIF依存性炎症のクロスキングダムな増強がin vivoで示された。
臨床的意義
直ちに臨床実践が変わるわけではありませんが、ALI/ARDSにおけるマクロファージ遊走阻止因子(MIF)経路の治療標的化を支持し、外因性の植物由来タンパク質がヒトの炎症経路を修飾し得ることへの注意を喚起します。
なぜ重要か
MIF媒介性肺炎症を強める新規のクロスキングダム機序を示し、ALI/ARDSの環境・生物学的修飾因子の理解と新規介入の探索を促進します。
限界
- ヒトでの検証がない前臨床マウス研究である
- 受容体レベルの機序やヒト曝露の妥当性が未解明
今後の方向性
MIF–MDL1相互作用の分子機序解明、ヒトにおける曝露文脈の評価、MIF経路阻害薬のALIモデルでの検証が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例対照研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 前臨床のin vivo動物実験による機序解明
- 研究デザイン
- OTHER