COVID-19治療における血管作動性腸管ペプチド(VIP)—ADAM10を介したACE2およびTMPRSS2のシェディング
総合: 76.0革新性: 9インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 7
概要
CaCo-2上皮細胞で、VIPはACE2とTMPRSS2のmRNAおよび表面発現を低下させ、ADAM10依存性のシェディングを誘導し、SARS-CoV-2疑似ウイルス感染を減少させた。宿主標的機序としてVIP/ADAM10制御の意義を示し、トランスレーショナル研究の推進を支持する。
主要発見
- VIPはSARS-CoV-2スパイク刺激下のCaCo-2細胞でACE2およびTMPRSS2のmRNAおよび表面発現を低下させた。
- VIPはADAM10を上昇させ、ACE2およびTMPRSS2の細胞表面からのシェディングを媒介した。
- これらの機序によりSARS-CoV-2疑似ウイルスの感染率が低下した。
臨床的意義
前臨床段階ながら、重症ウイルス性肺炎(COVID-19関連急性呼吸窮迫症候群を含む)におけるウイルス侵入抑制を目的に、吸入・全身投与VIPやADAM10制御の臨床評価を支持する。
なぜ重要か
VIPがADAM10を介してACE2/TMPRSS2のシェディングを誘導しウイルス侵入を抑制するという新規の宿主標的型抗ウイルス機序を示し、SARS-CoV-2以外への応用可能性もある。
限界
- 単一の上皮細胞株でのin vitro所見であり、直接的な臨床適用性は限定的である。
- 疑似ウイルスを用いており、ウイルス全ライフサイクルに対する影響評価には限界がある。
今後の方向性
VIPおよびADAM10制御を一次気道モデルや動物のARDS/COVID-19モデルで検証し、用量・投与経路・安全性を評価する。抗ウイルス薬との併用も検討する。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究(in vitro)
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - in vivo検証のない前臨床in vitro機序研究
- 研究デザイン
- OTHER