気管支肺胞洗浄液トランスクリプトームと末梢血検証に基づく好中球FABP4発現の敗血症およびSI-ARDS予測因子としての意義
総合: 77.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 7
概要
BALFと末梢血の複数コホートで、SI-ARDSにおける好中球FABP4発現低下が確認され、PI3K/AKT経路を介したアポトーシス抑制と不良生存に関連した。トランスクリプトーム解析では免疫関連経路の広範な低下と、薬剤耐性Klebsiella pneumoniae感染に特徴的な発現シグネチャーが示された。
主要発見
- SI-ARDSでは好中球FABP4がBALFで有意に低下し、末梢血でも検証された。
- FABP4阻害により好中球アポトーシスが低下し、この抵抗性はPI3K/AKT阻害で反転した。
- 好中球FABP4低値はSI-ARDSにおける生存不良と関連した(第3コホート)。
- 重複DEGの大半は免疫経路に富む低下遺伝子であり、薬剤耐性Klebsiella pneumoniaeで病原体特異的パターンが認められた。
臨床的意義
好中球FABP4は敗血症/SI-ARDSのリスク層別化と予後予測に有用である可能性があり、PI3K/AKTなど経路標的化の検討価値がある。導入には臨床検査系の整備と多施設検証が必要である。
なぜ重要か
本研究は、修飾可能なPI3K/AKT経路を好中球アポトーシス抵抗性と予後に結び付け、FABP4をバイオマーカーかつ治療標的候補として位置付ける。
限界
- 初期発見コホートの規模が小さく、単施設である可能性が高い
- 観察研究で交絡の可能性があり、汎用性には外部検証が必要
今後の方向性
臨床グレードのFABP4測定系を開発・検証し、多施設前向き研究で予後予測能を評価する。FABP4/PI3K–AKT標的化の前臨床ARDSモデルでの治療的検証を行う。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理/予後
- エビデンスレベル
- III - ランダム化のない観察コホートに機序的検証を加えたレベル
- 研究デザイン
- OTHER