肺炎関連中等度〜重症ARDS患者における肥満と短期・長期生存の関連:後ろ向きコホート研究
総合: 65.5革新性: 6インパクト: 6厳密性: 7引用可能性: 7
概要
微生物学的に確認された肺炎関連ARDS603例において、肥満(37.6%)は28日死亡率の低下(調整OR 0.55、95%CI 0.33–0.90)と独立して関連したが、90日・1年死亡率とは関連しなかった。傾向スコアマッチでも28日死亡率は低く、連続値としてのBMIも28日予後改善と関連した。
主要発見
- 603例の肺炎関連ARDSのうち37.6%が肥満で、女性、高血圧、糖尿病、COVID-19肺炎、PaO2/FiO2≤100 mmHgと関連した。
- 肥満は28日死亡率の低下(調整OR 0.55、95%CI 0.33–0.90、p=0.02)と独立して関連したが、90日・1年死亡率とは関連しなかった。
- 傾向スコアマッチにより、肥満群の28日死亡率は非肥満群より低かった(15.2%対22%、p=0.04)。
- 連続値としてのBMIは28日死亡率の低下と関連したが(p=0.038)、90日・1年では関連しなかった。
臨床的意義
ARDS初期死亡リスクにおいて肥満を一律に不利とみなすべきではなく、予後モデルにBMIを組み込むことが考慮される。ただし長期の生存利益は示されず、治療強度の引き下げは避けるべきである。
なぜ重要か
肺炎関連ARDSにおける肥満パラドックスの時間依存性を明確化し、リスク層別化や長期転帰研究の設計に示唆を与える。
限界
- 後ろ向き解析であり、残余交絡や治療の不均一性の可能性がある。
- 重症期のBMIは体液状態の影響を受けやすく、身体組成を反映しない。
今後の方向性
多施設での外部検証、身体組成に基づくフェノタイピング、短期利益と長期非有益性の機序解明研究が必要。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予後
- エビデンスレベル
- II - 前向きコホートの後ろ向き解析で、多変量調整および傾向スコアマッチを実施。
- 研究デザイン
- OTHER