腸内細菌由来乳酸は肺上皮ミトコンドリアを刺激し急性肺傷害を増悪させる
総合: 80.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 9
概要
無菌マウス、肺上皮細胞実験、ARDS患者メタボロミクスを統合し、腸内細菌代謝産物、特に乳酸が肺上皮ミトコンドリア活性を亢進し急性肺傷害を増悪させることが示されました。無菌マウスの腸内細菌叢定着は肺のミトコンドリア遺伝子発現を誘導し、腸肺軸とARDS病態を結び付けました。
主要発見
- 無菌マウスへの腸内細菌叢定着は肺のミトコンドリア関連遺伝子発現を増加させた。
- 腸内細菌代謝産物、特に乳酸は肺上皮細胞のミトコンドリア活性を刺激した。
- 大規模ARDSメタボロミクスデータの再解析により、細菌代謝産物と肺傷害重症度の関連が支持された。
臨床的意義
前臨床段階ながら、微生物叢介入や乳酸輸送阻害による肺傷害軽減の可能性が示唆されます。代謝プロファイリングは、微生物叢依存のミトコンドリア異常を有する高リスク患者同定に有用かもしれません。
なぜ重要か
細菌由来乳酸とミトコンドリア再プログラム化を介した腸肺軸という新機序を提示し、代謝・マイクロバイオーム介入という具体的な治療標的を示す点で意義があります。
限界
- 査読前のプレプリントであり、特定菌種やヒトでの因果証拠の詳細は抄録時点で限定的
- 臨床的妥当性や治療介入戦略の検証が今後必要
今後の方向性
原因となる菌種と代謝物フラックスの同定、乳酸輸送・代謝阻害のin vivo検証、前向きARDSコホートでの微生物叢–ミトコンドリアシグネチャーの妥当化が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 無菌マウス・細胞培養を用いた前臨床機序研究(ヒトデータ再解析を含む)
- 研究デザイン
- OTHER