メインコンテンツへスキップ

2,800万例の外科患者における周術期臓器障害が罹患率と死亡率に与える影響

Nature communications2025-04-10PubMed
総合: 65.5革新性: 6インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 6

概要

ドイツ全国2,835万例のコホートで、周術期臓器障害は4.4%に発生し、死亡オッズは9倍、在院日数は11.2日延長した。周術期ARDSは稀(0.1%)だが院内死亡率が極めて高い(44.7%)ことから、予防と早期検出の優先度が高いことが示唆される。

主要発見

  • 2,835万例の全国手術コホートで院内死亡率は1.4%。
  • 周術期臓器障害は4.4%に発生し、死亡オッズ9倍、在院日数+11.2日と関連。
  • 臓器別:急性腎障害2.0%(死亡25.0%)、せん妄1.5%(10.8%)、急性心筋梗塞0.6%(15.6%)、脳卒中0.6%(13.1%)、肺塞栓0.3%(20.0%)、肝障害0.1%(68.7%)、ARDS 0.1%(44.7%)。

臨床的意義

これらのデータを周術期リスクモデル、監視経路(例:急性腎障害やARDSバンドル)、資源配分に反映させる。高死亡の障害(例:肝障害、ARDS)には標的予防と迅速対応プロトコールが求められる。

なぜ重要か

前例のない規模で、ARDSを含む個々の臓器障害の転帰への負荷を定量化し、リスク層別化と周術期安全介入の優先順位付けを医療システム全体で可能にする。

限界

  • 後ろ向き行政データで、誤分類や残余交絡の可能性があり、因果推論はできない。
  • 詳細な臨床変数(例:人工呼吸設定、体液バランス)や長期転帰は利用不可。

今後の方向性

行政データと詳細な臨床・生理データの連結、死亡率の高い障害に対する予防バンドルの介入研究、他国での外的妥当性検証と因果推論手法の適用。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
予後
エビデンスレベル
II - 調整解析を伴う大規模全国コホート研究。
研究デザイン
OTHER