薬物乱用は外傷後の転帰にどのような影響を及ぼすか?Trauma Quality Improvement Programによる研究
総合: 61.5革新性: 6インパクト: 6厳密性: 6引用可能性: 7
概要
毒物検査が実施された861,450例の外傷患者で、オピオイドや大麻、アンフェタミン等の陽性は死亡、ICU入室、挿管のオッズ低下と関連し、メタンフェタミン陽性はARDS(急性呼吸窮迫症候群)のオッズ低下と関連しました。交絡の影響が大きく、因果推論を意識した慎重な検証が必要です。
主要発見
- 861,450例の外傷患者において、大麻、アンフェタミン、コカイン、オピオイド、ベンゾジアゼピンの陽性は死亡オッズの低下と関連しました(すべてP<0.001)。
- オピオイド、バルビツール酸系、オキシコドン、エクスタシー、メサドンの陽性はICU入室オッズの低下と関連しました。
- オピオイド、バルビツール酸系、オキシコドン、エクスタシーの陽性は挿管オッズの低下と関連し、メタンフェタミン陽性はARDS(急性呼吸窮迫症候群)オッズの低下と関連しました。
臨床的意義
娯楽的薬物曝露の有益性を推論すべきではありません。むしろ、交絡の可能性を認識し、毒物検査結果を予後モデルやトリアージの共変量として検討することが有用です。
なぜ重要か
前例のない規模と直観に反する関連は、薬物使用と急性外傷アウトカム(ARDSリスクを含む)に関する従来の前提を揺さぶります。
限界
- 後ろ向きデザインで毒物検査の選択バイアスや未測定交絡(用量、タイミング、多剤使用)の可能性
- 因果関係は推論できず、曝露の誤分類の可能性が高い
今後の方向性
前向きまたは準実験的研究、傾向スコアや合成コントロールを用いた因果推論、物質によるストレス応答調節の機序研究が必要です。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予後
- エビデンスレベル
- III - レジストリデータの後ろ向きコホート解析(多変量調整あり)
- 研究デザイン
- OTHER