光生体調節療法は早産ラット肺におけるサーファクタント産生を増強する:新生児呼吸窮迫症候群に対する非侵襲的治療戦略
Photochemical & photobiological sciences : Official journal of the European Photochemistry Association and the European Society for Photobiology•2025-12-01•PubMed
総合: 67.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 6引用可能性: 6
概要
早産ラットで、660 nmの光生体調節(30 mW, 3 J/cm², 1日3回×3日)はサーファクタント蛋白B/C/Dを有意に増加させ、細胞毒性・光毒性を示しませんでした。830 nmは増加が不安定で最小限の細胞毒性を伴い、660 nmが新生児呼吸窮迫症候群に対する有望な非侵襲的手段であることが支持されました。
主要発見
- 早産ラットモデル(n=68)で、660 nm PBM(30 mW, 3 J/cm², 1日3回×3日)によりサーファクタント蛋白B/C/Dが有意に増加。
- 660 nmでは細胞毒性・光毒性は認められず、830 nmでは増加が変動し最小限の細胞毒性が観察。
- ELISAおよび組織学的評価で産生亢進を確認し、in vitroの細胞毒性・遺伝毒性評価でも安全性が支持。
臨床的意義
ヒトで検証されれば、660 nmの光生体調節療法は新生児呼吸窮迫症候群においてサーファクタント不足を補う補助療法となり、外因性サーファクタント投与や侵襲的人工換気の必要性を減らす可能性があります。
なぜ重要か
サーファクタント産生という病態の要点を非侵襲的かつ波長特異的に増強する介入を提示し、新生児呼吸窮迫のトランスレーショナルな治療可能性を示すため重要です。
限界
- 前臨床の動物研究で観察期間が短く(3日)、ヒト新生児への一般化に限界。
- サーファクタント増加の機序(肺胞II型細胞シグナルなど)が十分解明されていない。
今後の方向性
至適パラメータを規定する用量設定・偽照射対照の新生児臨床試験を実施し、サーファクタント増加を担う細胞内シグナル経路を解明する。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/前臨床研究
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- V - 前臨床の動物実験研究
- 研究デザイン
- OTHER