術中の駆動圧指向高PEEP対標準低PEEP:術後肺合併症に対する影響
総合: 75.0革新性: 6インパクト: 7厳密性: 9引用可能性: 7
概要
開腹手術を受ける高リスク成人1,435例で、駆動圧指向高PEEP+リクルートメント手技は、標準低PEEPに比べ術後肺合併症を減少させなかった(19.8%対17.4%、差2.5%、95%CI -1.5~6.4、P=0.23)。高PEEP群では術中低血圧と昇圧薬使用が増加し、一方で低酸素発作は少なかった。
主要発見
- 術後5日以内の肺合併症複合:高PEEP 19.8% vs 低PEEP 17.4%;絶対差2.5%(95%CI -1.5~6.4);P=0.23
- 術中低血圧と昇圧薬使用は高PEEP群で増加(低血圧54.0% vs 45.0%;昇圧薬使用32.0% vs 18.8%)
- 術中の低酸素発作は高PEEP群で少なかった(0.8% vs 2.8%)
臨床的意義
開腹手術では低一回換気量と標準低PEEPを基本とし、駆動圧低減を狙った高PEEP+リクルートメントの常用は、有効性がなく低血圧が増えるため避けるべきである。高PEEPを用いる場合は厳密な循環動態監視と個別のリスク評価が必要。
なぜ重要か
大規模で厳密なランダム化試験により、個別化高PEEP+リクルートメントが臨床転帰を改善せず循環動態を悪化させ得ることを示し、周術期換気ガイドラインに直結する証拠を提供する。
限界
- 非盲検デザインおよび複合主要評価により特定イベントでの効果が希薄化する可能性
- 腹腔鏡手術や非腹部手術、長期肺転帰への一般化可能性は不明
今後の方向性
高PEEPの恩恵または害を受ける可能性のあるサブグループの同定と、酸素化と灌流のバランスを取る循環動態指向の実践的換気戦略の検証が必要。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- I - 多施設ランダム化比較試験であり、十分な検出力と試験登録を備える。
- 研究デザイン
- OTHER