TRIM47のパルミトイル化はATG16L1介在オートファジーを制御し敗血症における呼吸窮迫症候群を増悪させる
FASEB journal : official publication of the Federation of American Societies for Experimental Biology•2025-12-04•PubMed
総合: 77.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 7
概要
CLPおよびLPSモデルで、ZDHHC21が介在するTRIM47のC520位パルミトイル化がATG16L1のユビキチン化を促し、LC3B低下やオートファゴソーム減少を伴うオートファジー抑制と肺障害増悪を引き起こすことが示されました。TRIM47ノックダウンはATG16L1発現とオートファジーを回復させ、創薬可能な経路を示唆します。
主要発見
- 敗血症性ARDSのCLP・LPSモデルでTRIM47のパルミトイル化が増加し、LC3B低下やオートファゴソーム減少を伴うオートファジー低下と一致しました。
- TRIM47のC520位パルミトイル化はオートファジーを抑制し肺障害を増悪させました。
- TRIM47ノックダウンはATG16L1を上昇させ、逆にTRIM47のパルミトイル化はATG16L1のユビキチン化を促進しました。
- ZDHHC21はTRIM47に結合しそのパルミトイル化を高め、敗血症性ARDSでオートファジーを抑制しました。
臨床的意義
パルミトイル化制御(ZDHHC21やTRIM47パルミトイル化の阻害)によりオートファジーを回復させ、敗血症性ARDSの肺障害を軽減できる可能性があります。ATG16L1のユビキチン化はバイオマーカー候補となり得ます。
なぜ重要か
オートファジー障害と敗血症性ARDSを結ぶ新規の翻訳後修飾経路(ZDHHC21–TRIM47–ATG16L1)を特定し、機序的洞察と治療標的の可能性を提示します。
限界
- ヒト組織での検証や臨床転帰評価がない前臨床研究であること
- in vivoでの薬理学的阻害・活性化による可逆性検証が未実施
今後の方向性
ヒト敗血症性ARDS検体でのZDHHC21–TRIM47–ATG16L1経路の検証、パルミトイル化阻害剤や遺伝学的介入の治療効果検討、ATG16L1ユビキチン化のバイオマーカー有用性評価を進めるべきです。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序解明研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 臨床転帰評価のない前臨床の機序解明(動物・細胞)研究
- 研究デザイン
- OTHER