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炎症性肺疾患における局所免疫調節のためのカプセル化サイトカイン分泌細胞の気道内送達

Research square2025-12-08PubMed
総合: 86.0革新性: 9インパクト: 9厳密性: 8引用可能性: 9

概要

気道内投与可能なモジュール型マイクロカプセルにより、IL-10またはIL-1Raを局所・持続的に送達し、ラットARDSモデルで炎症を抑制した。単一細胞RNAシーケンスで骨髄系細胞の再プログラム化が示され、肺線維症モデルでは低酸素血症と構造が改善。大動物モデルでの安全性も支持され、ARDSを含む炎症性肺疾患への臨床応用が示唆される。

主要発見

  • 気道投与マイクロカプセルにより、肺内でIL-10およびIL-1Raの局所・持続的送達が可能であった。
  • ラットARDSモデルで、IL-10またはIL-1Raの局所送達は炎症シグナルと肺障害を低減した。
  • 単一細胞RNAシーケンスで、IL-10カプセルが骨髄系細胞構成を再構成し、炎症促進遺伝子発現を抑制することが示された。
  • ブレオマイシンモデルで、持続的IL-10送達は低酸素血症を改善し肺構築を回復させた。
  • 大動物モデルで気道投与カプセルの安全性と生体適合性が支持された。

臨床的意義

現時点で臨床実装段階ではないが、ARDSにおける全身性有害事象を回避する局所抗炎症治療の選択肢となりうる。初のヒト試験設計(用量、持続性、気道投与手技)に資する。

なぜ重要か

ARDS免疫療法の阻害要因である全身性副作用の課題に対し、気道局所で免疫調節を実現する初の細胞カプセル化プラットフォームを提示し、複数モデルでの有効性と大動物安全性を示した点が革新的である。

限界

  • 前臨床段階でありヒト有効性データは未取得、査読前(プレプリント)である
  • ヒト疾患肺における長期安全性、用量、保持動態が未確立

今後の方向性

GLP毒性試験、気管支鏡下投与のデバイス・手技最適化、ARDS患者での安全性・薬力学・バイオマーカー指標による用量設定に焦点を当てた第1相試験へ進める。

研究情報

研究タイプ
基礎/機序研究
研究領域
治療
エビデンスレベル
V - 前臨床の機序・橋渡し研究(動物実験)および大動物安全性評価であり、ヒト臨床転帰は未評価。
研究デザイン
OTHER