IL-35はNRF2/GPX4経路を活性化してマクロファージのフェロトーシスを抑制し、敗血症誘発性ARDSを改善する
総合: 77.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 7
概要
LPS刺激マクロファージおよび盲腸結紮穿刺マウスモデルで、IL-35はM1からM2への極性転換を促し、NRF2/GPX4シグナルを活性化してフェロトーシスを抑制しました。NRF2阻害で効果は消失。IL-35処置マクロファージとの共培養では肺上皮細胞のアポトーシスが低減しIL-10が増加し、敗血症性ARDS軽減の免疫代謝機序が示唆されました。
主要発見
- IL-35はLPS誘導のM1極性化を抑制し、マクロファージ(RAW264.7および骨髄由来)でM2表現型を促進した。
- IL-35はNRF2/GPX4シグナルを活性化しフェロトーシスを軽減し、NRF2阻害で効果は逆転した。
- CLP敗血症モデルにおいて、rIL-35は肺障害とフェロトーシスマーカーを低減した。
- IL-35処置マクロファージとの共培養で、MLE-12上皮細胞のアポトーシスが減少しIL-10発現が増加した。
臨床的意義
前臨床段階ながら、IL-35やNRF2/GPX4活性化戦略は敗血症性ARDSの過剰炎症とフェロトーシス軽減に応用可能性があります。本経路のバイオマーカーは患者選択に有用となり得ます。
なぜ重要か
マクロファージ極性化とフェロトーシスを肺障害に結びつける新規標的軸(IL-35–NRF2/GPX4)を提示し、ARDSの精密免疫治療の可能性を拓くためです。
限界
- ヒトデータのない前臨床研究であり、用量設定・安全性・薬物動態のトランスレーションが不明
- サンプルサイズや無作為化/盲検の詳細が抄録では不明
今後の方向性
IL-35/NRF2-GPX4標的化を大型動物モデルおよび早期臨床試験で検証し、用量・送達法・安全性・層別化バイオマーカーを確立する必要があります。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例対照研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 細胞株およびマウスCLPモデルによる前臨床機序実験であり、臨床エビデンスではない。
- 研究デザイン
- OTHER