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多枝病変を伴うST上昇型心筋梗塞における最適な完全血行再建戦略:ネットワーク・メタ解析

Journal of the American College of Cardiology2025-01-09PubMed
総合: 84.0革新性: 7インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9

概要

26件のRCT(15,902例)で、完全血行再建は責任病変のみよりMACEを低減した。即時CRは段階的CRよりMACEをさらに低下(RR 0.74)し、主に心筋梗塞の減少が寄与したが、手技関連MIを除くと優位性は減弱した。血行再建の誘導法(造影/生理学)に依らず一貫した効果が認められた。

主要発見

  • 完全血行再建は責任病変のみのPCIよりMACEを低減(即時CR RR 0.48、段階的CR RR 0.65)。
  • 即時CRは段階的CRよりMACEを低下(RR 0.74)し、造影誘導でも機能的誘導でも一貫した。
  • 手技関連MIを除外すると、即時CRのMI低減効果は減弱(RR 0.65;95% CI 0.36–1.16)。

臨床的意義

血行動態が安定した多枝病変STEMIでは、可能な限り初回手技での完全血行再建を優先すべきである。ただし、MI減少の一部は手技関連因子に依存することに留意する。病変選択と術者技能を踏まえ、即時CRを可能にする施設プロトコール整備が望まれる。

なぜ重要か

多様なRCTを統合し、多枝病変STEMIにおける即時の完全血行再建を支持する実践的根拠を提示した。ベネフィットの大きさと要因、手技関連MIに関するニュアンスを明確化した点が重要である。

限界

  • 試験間での患者選択・術者技能・MI定義の違いによる異質性の可能性
  • 手技関連MI除外後にMI低減効果が減弱し、機序解釈が複雑になる

今後の方向性

MI定義を標準化し患者中心アウトカムを含む、即時CR対段階的CRの直接比較RCT、およびワークフロー・病変選択を最適化する実装研究が必要。

研究情報

研究タイプ
メタアナリシス
研究領域
治療
エビデンスレベル
I - 複数のランダム化比較試験を統合した最上位の比較エビデンス
研究デザイン
OTHER