安定狭心症状患者における冠動脈CT血管造影ガイド下管理:スコットランドSCOT-HEART無作為化比較試験の10年成績
総合: 82.5革新性: 7インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 8
概要
SCOT-HEARTの10年解析(n=4146)では、通常診療にCCTAを追加することで冠動脈疾患死または非致死的心筋梗塞が減少(HR 0.79)し、非致死的心筋梗塞とMACEの低下が寄与した。血行再建率は同等だが、予防薬処方は持続的に多かった。
主要発見
- 主要評価項目(冠動脈疾患死または非致死的心筋梗塞)はCCTA群で低下(6.6%対8.2%、HR 0.79、p=0.044、追跡中央値10年)。
- 非致死的心筋梗塞(HR 0.72、p=0.017)とMACE(HR 0.80、p=0.026)はCCTA群で低下し、血行再建率は同等。
- 予防的薬物療法の処方はCCTA群で持続的に多かった(OR 1.17、p=0.034)。
臨床的意義
安定狭心症状の評価でCCTAを考慮し、診断の精緻化と予防療法の強化につなげることで、10年規模で非致死的心筋梗塞やMACEの減少が期待されます。
なぜ重要か
画像で動脈硬化を可視化し予防療法を最適化することでハードエンドポイントを改善するという長期の無作為化エビデンスを示し、安定狭心症状の診療指針に直接的含意を持つため重要です。
限界
- 非盲検デザインにより診療バイアスの可能性
- 総死亡・心血管死亡の差は認めず、主要評価項目のp値は境界的
今後の方向性
医療制度別の費用対効果評価、便益が最大の対象集団の特定、プラーク特性評価やAIリスク層別化の統合による予防最適化の検討。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 診断/予防
- エビデンスレベル
- I - 無作為化比較・多施設・長期追跡
- 研究デザイン
- OTHER