大動脈弁狭窄と冠動脈疾患を有するMedicare受益者における経カテーテル vs 外科的大動脈弁置換術の比較
総合: 78.5革新性: 7インパクト: 9厳密性: 8引用可能性: 8
概要
ASとCADを有する37,822例のMedicareコホートで、PCI+TAVRは周術期死亡が低い一方で血管合併症と恒久的ペースメーカー増加が見られました。リスク調整後、5年複合転帰(脳卒中/心筋梗塞/再介入/死亡)はCABG+SAVRがPCI+TAVRより優れており、単枝病変では動脈グラフトの使用による追加利益が示されました。
主要発見
- PCI+TAVRはCABG+SAVRに比べ周術期死亡が低い(1.1% vs 3.6%;OR 0.29;P<.001)。
- PCI+TAVRは血管合併症(OR 6.02;P<.001)と恒久的ペースメーカー挿入(OR 1.92;P<.001)が多い。
- 5年複合転帰(脳卒中・心筋梗塞・弁再介入・死亡)はCABG+SAVRが優れる(20.4% vs 14.2%;OR 1.44;P<.001)。
- 単枝病変ではCABG+SAVRにおける動脈グラフトの使用が有益。
臨床的意義
有意なCADを伴うASでは、PCI+TAVRの低い周術期リスクとCABG+SAVRの優れた5年転帰を比較衡量すべきです。単枝病変では動脈グラフトの活用が利益を高め得ます。長期予後、血行再建の完全性、ペースメーカー必要性のリスクを含めた意思決定が推奨されます。
なぜ重要か
大規模かつ厳密に調整された全国解析であり、AS+CAD患者の戦略決定に直結し、長期転帰ではCABG+SAVRが優れることを示してPCI+TAVRの潮流に再考を迫る重要なエビデンスです。
限界
- 観察研究であり、残余交絡や選択バイアスの可能性
- レセプトデータのため病変の複雑性や再血行再建の完全性など解剖学的・手技的情報が限定的
今後の方向性
解剖学的複雑性や生理学的評価、患者中心アウトカムを取り入れた前向き比較試験や実臨床型レジストリにより選択アルゴリズムの洗練が望まれます。リスク層別化に基づく費用対効果分析も必要です。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 治療/予後
- エビデンスレベル
- II - 大規模な後ろ向きコホートで厳密な統計調整と全国代表性を有する
- 研究デザイン
- OTHER