左室駆出率が保持された心不全における中心性肥満のほぼ普遍的存在:PARAGON-HF試験
総合: 81.5革新性: 8インパクト: 9厳密性: 8引用可能性: 8
概要
PARAGON-HFではHFpEFの96%がWHtR≥0.5の中心性肥満を示し、BMIよりもWHtRの方が有害事象との関連が線形かつ明瞭で、肥満パラドックスも認めなかった。WHtRは高リスク群をより多く同定し、HFpEFの表現型・リスク評価におけるBMI依存に疑義を呈する。
主要発見
- HFpEFの96%でWHtR≥0.5の中心性肥満を認め、BMI<30 kg/m2の非肥満でも37%がWHtR≥0.6の高度中心性肥満であった。
- WHtRは心不全入院と線形に関連し、BMIよりも高リスク群を多く同定した。
- BMIで見られた肥満パラドックスはWHtRでは認められなかった。
臨床的意義
HFpEF診療ではWHtRを用いたリスク層別化と指導を導入し、BMIのみではなく中心性肥満の是正(生活習慣や治療標的)を重視すべきである。
なぜ重要か
HFpEFを「中心性肥満駆動の症候群」と再定義し、リスク評価指標としてBMIより実務的かつ優れたWHtRを提示する点で、表現型分類と管理に大きな影響を与える。
限界
- 事後解析であり、試験登録に伴う選択や残余交絡の可能性がある。
- 身体計測はBMIとWHtRに限定され、画像による脂肪分布評価はない。
今後の方向性
WHtRに基づくリスク層別化の前向き検証と、中心性肥満を標的とした介入(運動・栄養・体重減少薬など)のHFpEF試験が求められる。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予後
- エビデンスレベル
- II - 質の高いコホート/RCTデータの二次解析
- 研究デザイン
- OTHER