平滑筋細胞のTRPM7チャニームがマウス腹部大動脈瘤を惹起する
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
2種類のAAAマウスモデルと細胞種特異的ノックアウトを用い、血管平滑筋細胞のTRPM7チャニーム活性が動脈瘤形成を促進し、表現型転換・炎症・基質分解を惹起することを示しました。SMC特異的Trpm7欠損は保護的であり、TRPM7が治療標的になり得ることが示唆されます。
主要発見
- SMC特異的Trpm7ノックアウトは、2種類の前臨床AAAモデルでAAAからマウスを防御した。
- TRPM7チャネル活性はCa2+依存性シグナル、VSMCの再プログラム化、炎症、細胞外基質分解を促進した。
- 細胞種特異的比較により、病原的役割はマクロファージや内皮ではなく平滑筋細胞に特異的であることが示された。
臨床的意義
前臨床段階ながら、VSMCのTRPM7活性を標的化することは、今後の安全性・橋渡し研究次第でAAAの進展抑制につながる疾患修飾的アプローチとなり得ます。
なぜ重要か
AAAに対して薬物療法が存在しない現状で、TRPM7を細胞内的ドライバーとして同定したことは機序解明と創薬標的の基盤を提供します。
限界
- 前臨床マウスモデルであり、ヒトでの検証やTRPM7制御の安全性は不明
- TRPM7阻害のオフターゲット作用や全身影響は未検討
今後の方向性
ヒトAAA組織でのTRPM7経路の検証、選択的モジュレーターの開発、薬力学・安全性評価、大動物モデルでの有効性検証が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 細胞種特異的ノックアウトを用いたin vivoマウスモデルによる前臨床機序エビデンス
- 研究デザイン
- OTHER