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論理ベース機械学習により、エスシタロプラムが心筋細胞肥大を抑制する機序を予測

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America2025-03-04PubMed
総合: 88.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 9

概要

薬剤誘導シグナル経路を予測する機械論的AI「LogiRx」を提示し、エスシタロプラムがオフターゲットのセロトニン受容体/PI3Kγ経路を介して心筋肥大を抑制することを、新生仔心筋細胞・成体マウス・ヒトデータベースで検証した。

主要発見

  • 薬剤誘導経路を予測する論理ベース機械学習フレームワークLogiRxを開発。
  • エスシタロプラムがセロトニン受容体/PI3Kγ経路を介して心筋肥大を抑制することを予測・検証。
  • 培養心筋細胞およびマウスの肥大・線維化モデルでエスシタロプラムが肥大を軽減。
  • データベース解析で、セロトニン受容体を標的としない他のSSRI使用者に比べ、エスシタロプラム使用者で心筋肥大の発生が低いことを示唆。

臨床的意義

エスシタロプラムは一部の患者群で心筋肥大リスクを低減しうる可能性があり、リモデリング抑制の補助戦略になり得る。セロトニン受容体/PI3Kγという機序標的は精密治療開発の機会を提供する。

なぜ重要か

説明可能なAIを実験で検証し、実行可能なオフターゲット機序を解明して薬剤リポジショニングの道を拓いた。計算予測を種横断のトランスレーショナル証拠で橋渡ししている。

限界

  • 無作為化臨床試験ではなく、ヒトエビデンスは観察研究に基づく。
  • 臨床応用に向けたオフターゲット機序の用量反応や検証は前向き試験が必要。

今後の方向性

エスシタロプラムの抗肥大効果と標的エンゲージメントを検証する前向き無作為化試験、PI3Kγ調節やセロトニン受容体選択性を活用した精密治療の探索。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
III - 機序解明を中心とした実験研究に観察的ヒトデータを補強したもの
研究デザイン
OTHER