非糖尿病高齢者におけるサルコペニア肥満と心房細動リスク:前向きコホート研究
総合: 78.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 8引用可能性: 8
概要
非糖尿病高齢者4,321例を10.9年間追跡した結果、サルコペニア肥満はサルコペニア単独や肥満単独を上回るAFリスク上昇(HR 2.669)と関連しました。媒介解析では、インスリン抵抗性(eGDR)、高感度CRP、ガレクチン-3が一部媒介因子として示されました。
主要発見
- 10.9年でAF発症は546件(1,000人年あたり11.98件)。
- サルコペニア肥満はAFリスクを最大に上昇(HR 2.669; 95% CI 2.110–3.377)。サルコペニア単独(HR 1.980)や肥満単独(HR 1.839)より高い。
- サルコペニアと肥満の相乗交互作用がAFリスクを増大(HR 2.029; 95% CI 1.639–2.512)。
- インスリン抵抗性(eGDR 34.87%)、hsCRP(27.56%)、ガレクチン-3(21.05%)が媒介。
臨床的意義
高齢者におけるサルコペニア肥満のスクリーニングと、筋量・脂肪量・インスリン感受性・炎症を標的とした介入は、AF発症抑制に寄与する可能性があります。
なぜ重要か
修正可能な体組成表現型をAFリスクに結び付け、インスリン抵抗性と炎症を介した機序を示したことで、単なる体重管理を超えた予防戦略に示唆を与えるためです。
限界
- 観察研究であり因果推論は困難で、残余交絡の可能性がある。
- 体組成評価の手法詳細が抄録内で十分に示されておらず、対象が非糖尿病高齢者に限定され一般化可能性に制約。
今後の方向性
筋力増強、脂肪量低減、インスリン感受性改善を標的とした介入試験によるAF予防効果の検証が必要。バイオマーカーに基づく精密予防戦略の評価も望まれます。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予後
- エビデンスレベル
- II - 長期追跡を行う地域住民ベースの前向きコホートによるリスク関連の評価。
- 研究デザイン
- OTHER