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母体高脂肪食はエピジェネティック記憶を介して子孫の動脈硬化を増悪させる

Nature cardiovascular research2025-03-16PubMed
総合: 90.0革新性: 9インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9

概要

マウスおよびヒト内皮細胞を用いた検討により、母体の西洋型食が大動脈内皮にAP-1/p300–H3K27ac依存のエピジェネティック記憶を刻み、炎症記憶を介して子孫の動脈硬化を加速することが示された。27-ヒドロキシコレステロールは記憶形成に関与し、二次刺激として炎症を増幅する。AP-1とクロマチンの結合阻害により内皮炎症と動脈硬化が抑制された。

主要発見

  • 母体西洋型食は、大動脈内皮でAP-1依存の炎症性クロマチン記憶を形成し、子孫の動脈硬化を加速させる。
  • 27-ヒドロキシコレステロールは記憶形成に関与し、AP-1/p300およびH3K27acの蓄積を高める二次刺激として作用する。
  • AP-1–クロマチン結合の薬理学的阻害は、内皮炎症反応を低減し、母体WD曝露子孫の動脈硬化を抑制する。

臨床的意義

妊娠前・周産期の心代謝リスク最適化の根拠を補強し、プログラム化された血管リスク緩和に向けてAP-1経路やオキシステロールシグナルの介入可能性を示す。

なぜ重要か

母体栄養から成人期の血管疾患への機序的連続性をAP-1介在のクロマチン再構築として解明し、予防・治療標的(AP-1/27-ヒドロキシコレステロール)を提示する。

限界

  • 前臨床マウスモデルであり、ヒトでの因果確認や用量反応の外挿は今後の課題
  • 食事組成や曝露期間が限定的で一般化可能性に制約がある

今後の方向性

AP-1/オキシステロール経路の介入をトランスレーショナルモデルで検証し、妊娠期の臨界ウィンドウを同定、母体ライフスタイル介入による可逆性を評価する。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
IV - 動物前臨床の機序研究(ヒト細胞データで補強)
研究デザイン
OTHER