11,555例のプロバンドのゲノム解析により60の優性先天性心疾患遺伝子を同定
総合: 90.0革新性: 9インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9
概要
11,555例のCHDプロバンド解析で、248遺伝子の負荷検定により60の優性遺伝子が同定され、症例の10.1%を説明した。デノボ変異と伝達変異の寄与は同程度で不完全浸透を示した。心筋系特異的発現遺伝子は孤発性CHDと関連し、脳広範発現遺伝子は神経発達遅滞と関連した。NOTCH1のEGF様ドメインでシステインを変化させるミスセンス変異は、ファロー四徴症/円錐動脈幹病変で濃縮していた。
主要発見
- 11,555例のプロバンドにおける248遺伝子の解析で、ヘテロ接合の有害変異負荷が有意な60遺伝子を同定。
- これらの遺伝子変異はCHDの10.1%を説明し、デノボ変異と伝達変異の寄与は同程度で不完全浸透を示した。
- NOTCH1のEGF様ドメインにおけるシステインを変化させるミスセンス変異は、ファロー四徴症や円錐動脈幹異常で濃縮。一方で機能喪失変異はより広範なCHDに関連。
- 遺伝子発現パターンから、心筋系特異的発現遺伝子は孤発性CHDに、脳広範発現遺伝子は神経発達遅滞合併CHDに関連した。
臨床的意義
CHDにおける遺伝子パネル拡充やトリオ検査の有用性、浸透度や体外異常リスクを踏まえた遺伝カウンセリングの改善、さらにNOTCH1システイン変異などに基づく機序別のサブタイプ管理を後押しする。
なぜ重要か
CHDの優性遺伝構造を高い統計力で解明し、サブタイプ特異性や体外合併症との関連に臨床的示唆を与える画期的研究である。
限界
- 解析は248の既定遺伝子に限定され、それ以外の遺伝要因は評価されていない。
- 個々の変異や機序の機能的検証は抄録では示されていない。
今後の方向性
全ゲノム/エクソーム規模への拡張と機能検証、ポリジェニックリスクや非コード変異の統合、サブタイプ別機序の精密診断・治療への応用が求められる。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- III - 大規模な観察的遺伝コホート(トリオ解析を含む)であり、介入は行っていない。
- 研究デザイン
- OTHER