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単一細胞分解能の動的分子アトラスにより、心筋線維芽細胞のCD248が免疫細胞との相互作用を統御することを示す

Nature cardiovascular research2025-03-28PubMed
総合: 90.0革新性: 9インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9

概要

ヒト・マウス梗塞心の単一細胞・空間解析により、免疫—線維芽細胞クロストークを主導するCD248高発現線維芽細胞が同定されました。線維芽細胞特異的Cd248欠失は線維化と機能障害を抑制し、CD248がTGFβ受容体Iの安定化とACKR3誘導によりT細胞滞留を促し活性化を維持することが示されました。抗体またはエンジニアドT細胞でこの軸を遮断するとT細胞浸潤と瘢痕拡大が減少しました。

主要発見

  • 単一細胞・空間トランスクリプトミクスにより、細胞外基質リモデリングと強く関連するCD248高発現線維芽細胞を同定。
  • 線維芽細胞特異的Cd248欠失は虚血再灌流後の心筋線維化と機能障害を軽減。
  • CD248は線維芽細胞でTGFβ受容体Iを安定化しACKR3を上昇させてT細胞滞留を促進し、抗体やエンジニアドT細胞で遮断するとT細胞浸潤と瘢痕拡大が減少。

臨床的意義

CD248は心筋梗塞後リモデリングの治療標的となり得ます。線維芽細胞—T細胞滞留ループを遮断する抗体療法や細胞療法により、線維化抑制と心機能温存が期待されます。

なぜ重要か

線維芽細胞活性化と獲得免疫を機序的に結び付ける可操作な間質チェックポイント(CD248)を提示し、介入可能性を示しました。高解像度アトラスは広く再利用される基盤資源となります。

限界

  • 主として前臨床データであり、トランスクリプトミクス以外のヒト機能的検証は限定的
  • 心臓および他臓器におけるCD248標的化の安全性・特異性は未確立

今後の方向性

CD248を標的とする治療(抗体・細胞療法)を大型動物モデルおよび初期臨床試験へ展開し、患者におけるCD248高発現線維芽細胞活性を可視化するバイオマーカーの開発を進める。

研究情報

研究タイプ
基礎/機序解明研究
研究領域
病態生理/治療
エビデンスレベル
V - 前臨床の機序解明研究(マルチオミクスと遺伝学的モデル)
研究デザイン
OTHER