心臓は内因性ケトン産生能を有し、NAD+補充の治療効果を媒介する
総合: 88.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 9
概要
ヒト心筋はHMGCS2を介した内因性ケトン産生能を有し、NAD+補充によりHMGCS2の脱アセチル化と機能回復が起こり、脂質代謝とミトコンドリア機能が正常化してHFpEFが改善することを示した。心筋特異的HMGCS2は治療効果に必須であり、心筋ケトン代謝とHFpEF治療反応を結び付けた。
主要発見
- ヒト心臓はHMGCS2を介して内因性にケトン体を産生し、アセチル化により酵素活性が低下する。
- NAD+補充はHMGCS2の脱アセチル化と機能回復を促し、脂肪酸酸化を高め、HFpEFの心機能を改善する。
- 心筋特異的HMGCS2ノックダウンではNAD+補充の治療効果が消失する。
臨床的意義
HFpEFにおける代謝個別化治療(例:NAD+補充)の根拠を強化し、HMGCS2の状態が反応性層別化に有用となる可能性を示す。心筋ケトン産生を高める、あるいはアセチル化を調節する治療併用の動機付けとなる。
なぜ重要か
ヒトで心筋ケトン産生の直接証拠を示し、HFpEFにおけるNAD+療法の効果にHMGCS2が必須であることを解明した。HFpEFの代謝治療やバイオマーカー戦略を再定義する成果である。
限界
- 臨床NAD+介入へのトランスレーションには無作為化試験が必要
- HFpEFの病因多様性が一般化可能性に影響し得る
今後の方向性
心筋ケトン産生/HMGCS2活性のバイオマーカー開発、NAD+補充や脱アセチル化調節薬のHFpEF臨床試験、最大の恩恵を受ける患者サブグループの同定が求められる。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序解明研究
- 研究領域
- 病態生理/治療
- エビデンスレベル
- V - ヒト組織と動物モデル・マルチオミクスによる機序解明研究
- 研究デザイン
- OTHER