急性大動脈症候群の除外プロトコルの性能と費用:前向きコホートの個別患者データ統合解析
総合: 81.5革新性: 8インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 9
概要
3つの前向き診断コホート(n=4,907、AAS有病率10.3%)の個別患者データ解析により、ガイドライン準拠の臨床スコア+D-ダイマー除外プロトコルは一貫して高い感度(最大97.6%)を示す一方で、特異度・効率・費用には差があることが示された。これにより、各施設の方針と資源状況に応じたプロトコル選択が可能となる。
主要発見
- 5か国12施設の前向き診断研究3件から個別患者データを統合(n=4,907、AAS有病率10.3%)。
- 臨床スコア+D-ダイマーのプロトコルは高い感度(最大97.6%)を達成し、除外戦略としてガイドライン目標を満たした。
- プロトコル間で特異度・効率・費用が異なり、政策・資源に基づく最適な経路選択が可能。
臨床的意義
救急現場では高感度のスコア+D-ダイマー法を前提としつつ、各施設の資源と費用対効果に合致したプロトコルを選択してCT撮影の最適化が可能となる。
なぜ重要か
ガイドライン推奨のAAS除外パスを個別患者データで直接比較し、感度・特異度・費用のトレードオフを明確化した点が救急診断の重要な課題に応える。
限界
- 抄録内でD-ダイマー閾値や一部の性能指標の詳細が限定的
- 画像アクセスや事前確率が異なる地域への外的妥当性に留意が必要
今後の方向性
各診療経路の実臨床でのアウトカム、被ばく量、費用対効果を比較する前向き実装研究と、年齢調整や臨床的事前確率に応じたD-ダイマー閾値の検討。
研究情報
- 研究タイプ
- メタアナリシス
- 研究領域
- 診断
- エビデンスレベル
- I - 前向き診断研究の個別患者データ統合による比較性能・費用解析を含む最高水準の証拠。
- 研究デザイン
- OTHER