体外循環CABGを受ける2型糖尿病患者におけるエンパグリフロジン:POST-CABGDM無作為化臨床試験
総合: 80.0革新性: 8インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
体外循環CABGを受ける2型糖尿病患者145例の無作為化試験で、エンパグリフロジンは術後AKIを減少(22.5% vs 39.1%、RR 0.57)させ、安全性上の問題は認めませんでした。心房細動やType5心筋梗塞は同程度で、死亡は対照群のみでした。
主要発見
- 術後AKIはエンパグリフロジン群で低下:22.5% vs 39.1%(RR 0.57、95%CI 0.34–0.96、P=0.03)。
- 術後心房細動(15.4% vs 13.5%)やType5心筋梗塞(1.4% vs 4.1%)の増加は認めず。
- 安全性イベントに有意差なく、死亡3例はいずれも対照群で発生。
臨床的意義
体外循環CABG予定の2型糖尿病患者で、術前72時間の中止を前提にエンパグリフロジンを導入することでAKIリスク低減が期待されます。標準的な安全性モニタリングを行いつつ適用を検討できます。
なぜ重要か
SGLT2阻害薬の術前使用が体外循環CABG後のAKIを減少させ得ることを初めて無作為化試験で示し、周術期の腎保護戦略を変え得る可能性があります。
限界
- 単施設・非盲検でサンプルサイズがやや小さい(N=145)。
- 評価は短期のAKI中心で、長期の腎・心血管転帰は未評価。
今後の方向性
多施設二重盲検RCTにより、周術期SGLT2戦略の再現性、至適タイミング、対象患者層を検証し、腎・心血管アウトカムで十分な検出力を確保すべきです。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 転帰判定盲検化を伴う無作為化臨床試験
- 研究デザイン
- OTHER