進行心不全における心外膜脂肪組織はL-3-ヒドロキシ酪酸を産生する:脂肪組織代謝リモデリングの直接解析
総合: 77.5革新性: 9インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8
概要
対照から重症HFrEFまで208例の解析で,脂肪組織の部位特異的リモデリングが示された。進行心不全では心外膜脂肪組織の脂肪酸酸化末端が障害され,局所的にL-3-ヒドロキシ酪酸産生が増加し,心外膜脂肪–心筋の代謝軸が示唆された。
主要発見
- EATとSATのメタボロミクスで,心不全進行に伴う部位特異的リモデリングを同定。EATではβ酸化終末過程が障害された。
- EATで3-ヒドロキシ酪酸とヒドロキシブチリルカルニチンが上昇し,摘出組織ではEAT産生のL-3-ヒドロキシ酪酸が増加していた。
- 進行HFrEFにおける心外膜脂肪と心筋の代謝クロストークを支持する所見。
臨床的意義
進行HFrEFでは心外膜脂肪の代謝が心筋エネルギー代謝に影響し得る。ケトン代謝やEAT機能を調節する治療(代謝薬,減量介入など)は,貯留部位特異性を考慮して個別化され得る。
なぜ重要か
心外膜脂肪によるL-3-ヒドロキシ酪酸産生という新規代謝特徴を同定し,脂肪組織リモデリングと心筋燃料供給を結びつけ,心不全における代謝標的介入の可能性を拓く。
限界
- 観察的横断研究で因果推論や臨床エンドポイントとの直接的関連づけは困難
- 単一国の集団で一般化可能性に制約があり,介入的検証は未実施
今後の方向性
心外膜脂肪代謝やケトン経路を標的とする介入研究,貯留部位由来代謝物の心筋へのin vivoトレーシング,臨床転帰との関連解析が求められる。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- III - ヒト組織を用いた観察研究(マルチオミクスおよび摘出機能解析)
- 研究デザイン
- OTHER