PR間隔の自然経過と心血管イベント・死亡リスク:全国規模研究
総合: 77.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
900万超のECGと転帰を連結した全国研究で、PR間隔の短縮・延長と時間的延長はいずれも、心房粗細動、心不全、心室性不整脈、失神、房室ブロック/デバイス植込み、全死亡のリスク増加と関連しました。多くのエンドポイントでU型/J型のパターンがみられ、ΔPRも段階的にリスクを高めました。
主要発見
- PR<120msが2.9%、>200msが7.4%に認められ、延長は高齢ほど増加した。
- AF/心不全/心室性不整脈はU型の関連、失神はPR≥170msで段階的増加、高度房室ブロック/デバイスはPR>160msで直線的にリスク増加。
- PRの時間的変化(ΔPR)は、全てのイベントおよび死亡で段階的なハザード増加と関連した。
臨床的意義
ECGベースのリスク評価においてPR間隔の水準と経時変化を考慮し、PRが160–170ms以上や進行性延長を示す場合は伝導障害の評価・モニタリングを強化すべきです。
なぜ重要か
PR間隔の基準値と経時変化が多様な心血管アウトカムのリスク指標として有用であることを示す人口規模のエビデンスで、ECGに基づくリスク層別化に資します。
限界
- 観察研究であり、日常診療ECGの測定ばらつきや残余交絡の可能性がある
- ホルター等の連続モニタリングがなく、不整脈負荷の定量や機序推定に限界がある
今後の方向性
PR水準・経時変化をリスクスコアに統合し、異常PR動態を示す患者での標的モニタリングや介入の前向き検証を行う。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予後
- エビデンスレベル
- II - 反復ECG測定と調整済み原因特異的解析を伴う全国規模の観察コホート。
- 研究デザイン
- OTHER