TAVR施行患者における冠動脈疾患の再血行再建をFFRで誘導する無作為化研究
総合: 85.5革新性: 8インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 8
概要
NOTION-3では、TAVR前にFFR≤0.80病変を保存的に管理した群は、PCI実施群やFFR>0.80見送り群に比べて3年時の心血管死・心筋梗塞・緊急再血行再建の合併が有意に多くなりました。病変レベルでも、FFR≤0.80を未治療のままとした場合に再血行再建が圧倒的に多く発生しました。TAVR治療戦略におけるFFR 0.80の閾値利用を支持する結果です。
主要発見
- 36カ月時の主要複合イベントは、FFR≤0.80保存群21.6%、FFR≤0.80 PCI群11.5%、FFR>0.80見送り群10.5%でした。
- 病変単位の再血行再建率は、未治療のFFR≤0.80で12.6%、PCI後1.3%、FFR>0.80見送りで0.9%でした。
- TAVR前の再血行再建判断にFFR 0.80の閾値が有用であることを支持します。
臨床的意義
TAVR候補の冠狭窄に対して、FFR≤0.80病変はPCIを、FFR>0.80病変は見送りを優先することで、心筋梗塞や緊急再血行再建のリスク低減と治療計画の最適化が期待できます。
なぜ重要か
本研究は、臨床的不確実性の高いTAVR前PCIの適応を無作為化で検証し、予後に直結する意思決定を直接的に支援する点で重要です。
限界
- FFR>0.80見送り群は登録観察であり、選択バイアスの可能性
- 重症大動脈弁狭窄におけるFFR計測は血行動態の影響を受ける可能性
今後の方向性
TAVRプロセス全体での生理学的指標に基づく再血行再建戦略を、費用対効果・弁治療タイミング・長期転帰を含めて検証する前向き試験が必要です。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 臨床転帰と病変レベル解析を伴う無作為化試験。
- 研究デザイン
- OTHER