孤立性拡張期高血圧における降圧療法と心血管リスク:個別患者データ・メタアナリシス
総合: 81.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
51件のRCT(n=358,325)を統合した個別患者データ解析で、収縮期血圧5mmHg低下に伴う主要心血管イベントの低減はIDHと非IDHで同程度であり、拡張期血圧水準や主要サブグループ間の不均一性は認められませんでした。IDHに対する標準的な降圧治療の妥当性を支持します。
主要発見
- 358,325例(51 RCT)の解析で、収縮期5mmHgの低下に伴う主要心血管イベントの低減はIDH(HR 0.91; 95% CI 0.82-1.01)と非IDH(HR 0.90; 95% CI 0.89-0.92)で同程度でした。
- 収縮期血圧<130mmHgの層では、ベースライン拡張期血圧による治療効果の不均一性は認めませんでした(相互作用P=0.26)。
- 既往心血管疾患、年齢、既往薬物治療、血圧測定法による相対効果の差は認めませんでした。
臨床的意義
臨床的には、IDHでも非IDHと同様に降圧療法を正当化でき、拡張期血圧の水準に過度に拘らず総合的な降圧目標を重視できます。低い拡張期血圧でも有害性の増大は示されませんでした。
なぜ重要か
51件のRCTの個別患者データを用いて、孤立性拡張期高血圧の治療方針に関する長年の不確実性を解消する知見を提示したためです。
限界
- IDHは全体の4.4%と少数であり、一部推定値の精度に限界がある
- 試験間の差異や固定効果一次モデルの仮定により一般化可能性に影響し得る
今後の方向性
現代コホートでの絶対リスク低減や至適治療閾値の評価、特定集団でのJカーブ影響や患者中心アウトカムの検討が望まれます。
研究情報
- 研究タイプ
- メタアナリシス
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - ランダム化比較試験の個別患者データを用いた統合解析
- 研究デザイン
- OTHER